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映画「Dans la Vie」パンフレットより

DANS LA VIEポスター画像ちなみに、映画「Dans la Vie」のポスターはこれです。 

「Une comedie kasher」 
(カシャーなコメディーよ。カシャー=ユダヤの宗教忌避)

と、イスラムのほっかむりをしたおばさんが言い、

「Et hallal !」
(おまけにハラルよ。ハラル=イスラムの宗教忌避

ともう一人がつけ足しています。

映画の中では、アルジェリアのオランで生まれたユダヤ人のエステルのお父さんは、フランス人が優先して仕事を取る政策になったため、強制的に失業されられてしまい、仕方なくフランスに移民したのだそうです。

一方で、植民地政策として、フランスは、ユダヤ人はフランス人として認め、アラブ人は認めない、など、人種差別的な政策を取って、恣意的に両者を対立させたのだそうです。

植民地政策により、これまで普通の隣人だった、ユダヤ系とアラブ系が、人工的に対立をせまられていく構図が、とてもよく分かります…

ちなみに、映画のパンフレットに書いてあった最後の一言が印象的でした。

私がイスラエルに帰るたびに、胸を打つのは、マグレブ出身、イラク、イラン出身のユダヤ人と、アラブ人の類似性です。

同じ習慣、同じ伝統…料理、匂い、スパイス、味も同じです。

音楽もとても似ています。

文化的に近づく必要がないほど、既に両社は近くにあり、私は、そこに希望を感じるのです。

フランスでも状況は同じです。

ユダヤ人が弁護士になったり、外科医になったりなど、成功をすると、実家でお祝いをしますが、その時に食卓に出されるのは、仔牛のブランケット(フランス料理)ではなく、クスクスなのですから!

エステル・ベンバサ教授(Esther Benbassa, Directrice d'etudes a l'Ecole pratique des hautes etudes)


ただし、ひとつだけ、大きな違いがあります。

それは映画の中でエステルとハリマの会話に出てくるんですが…

アルジェリアのユダヤ人は、自分たちのコミュニティの間でしか、結婚できないことになっていた。モロッコのユダヤ人や、チュニジアのユダヤ人とさえ、結婚することは許されていなかったのよ!

ちなみに、パンフレットから更に抜粋すると、19世紀末、フランスの植民化が進んだ結果、アルジェリアのユダヤ人のほとんどが、フランスに移民(帰化)し、モロッコのユダヤ人は多くがイスラエルとモントリオールに移民し、チュニジアのユダヤ人はフランスとイスラエルに移民したのだそうです。

当然ながら、フランス国籍を得られるかどうかが、フランスへの移民をするかどうかの大きな要因となり、また、当時イスラエルに移民したユダヤ人は、金銭的に余裕のない人が多かったのだそうです。

映画の中で、ハリマはアラブ系の友人や息子から、「ユダヤ人のお金でメッカ巡礼に行くなんて!」と批難され、どうしていいか分からず、モスクのシェイク(キリスト教の司教さん、神父さんに当たる人)に相談に行きます。

すると、シェイクは、

そのユダヤ人は、イスラムを悪く言いますか?

あなたは、そのユダヤ人のために働くことで、イスラムを否定するようなことを強いられますか?

そうでなければ、メッカ巡礼に行くことには、何の問題もないでしょう!

とスッパリ答えてくれます。

ハリマは、映画の中で、「無学な女性」として描かれていますが、娘のセリマをイスラム・コミュニティのプレッシャーから守り、自分の行動も、「神様に恥ずかしいことは何もしていない!」と貫く強さを持っています。

また、娘のセリマも、反動化して、スカーフをかぶっているいとこの女の子が、

私の方が、あなたよりイスラムの教えをきちんと実践している!

仕事で、男性の介護をすることもあるなんて、イスラムに反してるんじゃない?

と挑発するのに対して、

宗教って、伝染病じゃないでしょ?

私は個人的に、イスラムを信仰しているし、それで十分。

あなたがベールをかぶりたいからって、私にも同じスタイルを強制する必要はないでしょ?

と言い放ちます。

日本の田舎のお隣さんや親戚の「結婚適齢期」とか、「人様に恥ずかしくないように…」みたいなプレッシャーにも似たような、フランスのイスラム系がお互いに牽制しあう社会的プレッシャーが、ものすごく伝わってきます。


…以上、つたない訳・文章で恐縮ですが、アラブ世界を複雑にしているユダヤとイスラムの関係についても、皆さんにも伝えたくて、書いてみました。


JUGEMテーマ:映画
サラ * フランスのアラブ世界 * 18:28 * comments(4) * -

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コメント

仲悪いですよね、ユダヤとイスラムは。
フランス人でユダヤの(といっても厳格ではまったくありません)子がたま〜に言う言葉が直接的ではないんですが、間接的にイスラムというもののはやっかいなものだということを話していて、ユダヤの彼の口から出る言葉はどうも「イスラムに近づくな」と言っているようなところがあって複雑な心境でした。

コミュニティっていうの、本当に大変ですよね。。。
コミュニティで思い出したのですが、ケン・ローチ監督の映画でJust a Kissという映画を昔フランスで見たのですが、これはパキスタン移民二世の青年がカトリックの女性に恋をするとかいう話だと思います。一緒に見に行ったフランス人がコミュニティにしばられているイスラム教徒に驚いていました。

マグレブとかも、アルジェリアとモロッコでも近い文化同士なのに仲が悪かったりで難しいですね。

日本も韓国や中国と問題がたくさんありますけど、宗教がからむと複雑ですね。
Comment by 木蓮 @ 2009/04/07 6:55 AM
■木蓮さん、

私も、ユダヤ人については、色々疑問に思ってることがあったんですが、その一部が今回の映画とパンフレットで溶けたような気がします。

フランスにいるユダヤ人は、商売上手なユダヤ系チュニジア人のイメージ(パリの洋服卸業のマグレブ系ユダヤ人を描いたコメディ映画シリーズがありましたが、ご存知ですか?)があったのですが、たとえばパリの19区などに行くと、キパーを被っていたり、イスラム帽をかぶっていたりする以外、外見では、アラブ人とユダヤ人の区別がつかない!と思っていたので、なんとなく今度の映画で納得がいくものがありました。

リヨンにも、ユダヤ系とアラブ系が隣接して住んでるカルティエはあるんでしょうか?

ちなみに、色々読むと、昔のイスラム教国(オスマン・トルコも含め)は、キリスト教国よりも、他の宗教に寛容だったようです。

まだ良く分からない点は、いわゆる白人(ドイツ系、東欧系)のユダヤ人と、マグレブなど出身のユダヤ人は、同じシナゴーグに行くのか?顔立ちも全然違うし、同じコミュニティとはいえないと思いますし、食べているものなども違うようですが…

ケン・ローチ監督の映画は、話を聞きましたが、アメリカのティーンエイジャーの話を描いた映画(寝不足なので、どうもタイトルが出てこない…男の子の名前なんですが…すみません)を見て、とてもショッキングだったので、見に行かなかったんだと思います。
イギリス映画で、パキスタン移民とイギリス人のカップルを描いた「Fish and Chips」という映画も、とても面白かったです。
Comment by サラ @ 2009/04/07 5:08 PM
サラさん、初めまして、こんにちわ。

私も「ベリーダンス」超初心者です☆
googleで「ベリーダンス」検索してこのサイトを見つけ、面白く拝見させて頂いてます!


細かいことですが、「カシャー」「ハラール」は、それぞれユダヤ教・イスラム教で「良い」とされているもので、「宗教忌避」とは逆なのではないでしょうか?


ユダヤ教に関しては良く知りませんが、うちのダンナはムスリム(エジプト人)ですので・・・。

ちなみに、「イスラム教で禁止されていること」は「ハラーム」です。(豚肉を食べるとか、飲酒することとか)

もしご存知でしたらゴメンナサイね(^^;)


この映画はまだ見ていませんが、ぜひ見たいと思っています。日本でも公開されるといいなぁ♪
Comment by kaorin @ 2009/05/09 1:42 PM
■kaorinさん、

はじめまして!
コメントどうもありがとうございます。

カシャーとハラルの説明、ありがとうございます。
私の書き方が、言葉足らずで、すみませんでした。

「宗教忌避をパスしている」、という書き方をすればよかったでしょうか?
どうも、いい翻訳が浮かばず、誤解を招く書き方になってしまいましたね。
kaorinさんは、日本語で、「ハラル」を説明する時、ずばり一言で、どう表現されているのでしょう?

パリには、アラブ系とユダヤ系がすぐ近くの地区に住んでいる場所があるのですが、そのあたりを歩くと、「カシャー」と書いてあるお肉屋さんがあると思えば、次にみかけるお肉屋さんは「ハラル」と書いてあったりして、興味深いです。

日本で見られる機会があったら、ぜひ、ご覧ください!
Comment by サラ @ 2009/05/11 5:48 PM
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